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ここでは、業務用空気清浄機の臭いの原因と、臭いが発生したときの対処法について詳しく解説します。
業務用空気清浄機とは、空気をきれいにするための機械。そうであるにも関わらず、業務用空気清浄機自体が臭いの原因となってしまっては、設置する意味がありません。臭いが発生する原因を明らかにし、日頃から臭いが発生しないよう適切なメンテナンスをしていきましょう。
業務用空気清浄機の臭いの原因は、大きく分けて「フィルター」と「水タンク」の2つ。それぞれ詳しく見ていきましょう。
多くの人は、「フィルターは臭いの原因を消滅させる部分」と理解していると思いますが、それは誤りです。
フィルターは臭いの原因を消滅させる部分はなく、臭いの原因を吸収する部分。臭いの原因はフィルター部分に溜まっている、と理解しましょう。
業務用空気清浄機には、主に次の3つのフィルターがありますが、これらのフィルターのいずれかに臭いの原因が溜まっていると考えてください。
これらのフィルターに臭いの原因が溜まったり、溜まったホコリからカビや雑菌が繁殖したりなどし、業務用空気清浄機から臭いが発生します。
水タンクを掃除せずに普段通りの使い方をしていると、水タンクの中でカビや雑菌が繁殖して、臭いが発生することがあります。
業務用空気清浄機の種類によっては、加湿機能を作動させた際、水蒸気とともに水タンクの中のカビや雑菌を空気中へ排出します。排出されたカビや雑菌が原因となりアレルギーを発症する人もいるので、たとえ水タンクから臭いがしなかったとしても、定期的に掃除することが大切です。
業務用空気清浄機の臭いを除去するため、まずは臭いの原因を特定しましょう。特定した上で、それぞれの原因に応じたメンテナンスを行うことになります。
まずはプレフィルターのホコリを掃除機で吸い取ったり、後述する方法で掃除してみたりして、臭いが除去されるかどうかを試してみましょう。もし臭いが除去されなければ、次の要領で臭いの原因を特定します。
まずは、全てのフィルターを外して運転させてみてください。フィルターがないにも関わらず臭いが発生した場合、臭いの原因はフィルターではなく本体にある、と考えます。
臭いの原因が本体にある場合には、フィルターを外した状態で半日ほど運転させてみましょう。それでも臭いを除去できない場合には、メーカーに問い合わせてみてください。
全てのフィルターを外して運転させたときに臭いが発生しない場合には、集塵フィルターだけを装着して運転させてみましょう。ここで臭いが発生したならば、臭いの原因は集塵フィルターにあると判断します。
集塵フィルターを付けて運転させても臭いが発生しない場合には、消臭フィルターも付けて運転させてみてください。ここで臭いが発生したならば、臭いの原因は消臭フィルターにあると判断します。
フィルターの基本的な掃除の方法は次の通りです。
フィルターが入る大きさの容器(浴槽でも可)、クエン酸、ぬるま湯(40~50℃)、タオル、ゴム手袋を用意します。
説明書に従い、正しい手順でフィルターを外しましょう。この時点でホコリ等が目立つ場合には、適宜、除去するようにしてください。
「水:クエン酸=1L:6mg」の割合で混ぜ合わせ、クエン酸水を作ります。40~50℃ほどに温めた水が理想です。容器の中にフィルターが完全に収まる量のクエン酸水を作りましょう。
フィルターをクエン酸水に浸け置きします。浸け置き時間は約2時間です。
浸け置きしているフィルターを取り出し、流水でしっかりと洗い流してからタオルで水分を拭き取ります。
フィルターを天日干しして、しっかりと乾かしましょう。
以上のメンテナンスを行っても臭いが除去できない場合には、フィルターの交換が必要と判断してください。業務用空気清浄機の種類にもよりますが、一般にフィルターは1~2年ごとに交換が必要なパーツです。業務用空気清浄機を新規で購入した場合には、購入した時期とフィルター交換の時期をメモしておくようにしましょう。
フィルターの水洗いの方法を説明しましたが、ここで一点の注意点があります。それは、「集塵フィルターは水洗いしない」ということです。なぜ、集塵フィルターを水洗いしてはいけないのでしょうか?
目に見えない細かいホコリ等を溜めるのが集塵フィルターの役割ですが、それらのホコリを溜めるために働いているのが静電気。静電気を帯びた下敷きで髪の毛を誘引するときと同じ原理により、集塵フィルターは目に見えないホコリ等を集めている、ということです。
集塵フィルターを水洗いをしてしまうと、フィルターの静電気の力が弱くなってしまうため、水洗いは厳禁となります。
集塵フィルターを水洗いすることで、フィルターの形が崩れてしまうことがあります。形が崩れると、本来の集塵フィルター機能が低下することがあるため、水洗いは厳禁となります。
新聞紙と掃除機を用意します。
室内が汚れることを防ぐため、床面に広く新聞紙を広げましょう。
集塵フィルターを新聞紙の上に置きます。この際、ホコリ等が溜まっている表(おもて)面を上にして置くようにしてください。ホコリ等はフィルターの表面に溜まっているため、裏面を掃除してもあまり意味がないからです。
掃除機で、集塵フィルターの表面のホコリ等を吸い取りましょう。フィルターを傷めないよう、掃除機の吸引力は「弱」の設定とします。
なお、すでに集塵フィルターを水洗いしてしまったという場合には、業務用空気清浄機の正常な機能を維持させるため、新しい集塵フィルターに交換するようおすすめします。
上述の通り、水タンクの中にはカビや雑菌が繁殖することがあります。臭いやアレルギーの原因となるため、日頃から水タンクも適切にメンテナンスしなければなりません。
水タンクの臭いへの対処法を見てみましょう。
歯ブラシ、クエン酸、台所用中性洗剤を用意します。
加湿器のタンクを取り出します。感電防止のため、電源コードを抜いてから作業を始めましょう。
タンクのフタを取り外し、丁寧に汚れを落としていきます。細かい部分の掃除には歯ブラシを使うと良いでしょう。汚れが頑固で落としにくい場合には、台所用中性洗剤を利用します。
タンクの水をすべて捨てたうえで、改めて少量の水道水を入れ、フタをした状態で、しばらくタンクを振ってみてください。軽度の汚れであれば、これだけでも落ちます。
振り洗いしても汚れが落ちない場合には、タンク内にクエン酸水を満たして、しばらく放置します。濃度の割合は「水:クエン酸=1L:10mg」ほど。40℃程度まで温めたクエン酸水でタンクを満たし、そのまま2時間ほど放置しましょう。
タンクとフタをしっかりと水洗いします。
なお、水タンクのメンテナンスに関しては、次の2点にご注意ください。
「水道水よりもきれいな感じがする」という理由で、水洗いの際にミネラルウォーターを使用する方もいるようですが、ミネラルウォーターではなく水道水を利用して水洗いするようにしましょう。水道水に含まれる塩素が、カビや雑菌対策に有効だからです。
タンク内の水を溜めたままにせず、こまめに新しい水と交換するようにしましょう。
「水がなくなったら補充する」という方もいるようですが、水が全てなくなるまでの間に、タンク内でカビや雑菌が繁殖することがあります。たとえタンク内に水が余っていたとしても、毎日新しい水に交換することが原則です。
業務用空気清浄機の臭いの原因、および、臭いが発生したときの対処法について詳しく説明しました。
多くの場合、ここで説明した要領で業務用空気清浄機の臭いを除去することができます。臭いが発生してから対処するのではなく、臭いが発生する前に、日頃から定期的にフィルター等をメンテナンスすることが大切です。
なお、業務用空気清浄機の機種によっては、メーカーに専門的な掃除を依頼しなければ、臭いの原因を除去できないこともあります。購入の際には、メーカーに詳しいメンテナンス方法を確認しておくようにしましょう。